平成17年度
愛しむように夫婦で取り組む山仕事 ゼンマイ栽培 徳島県穴吹町 谷敏文さん
●急勾配斜面にゼンマイを
四国の最高峰「剣山(つるぎさん)(1,955m)」に向かって国道492号線を車で走ると、途中から道幅が狭まり、両側の山が迫ってくる。傍らの穴吹川(あなぶきがわ)の流れはエメラルドグリーンに輝き、その美しさに見とれるほどだ。真っ赤な恋人橋を渡って林道に入る。ガードレールもない急勾配を上り続けた道の突き当たりが、谷敏文(たにとしふみ)さんがゼンマイを栽培する山である。
標高500mから650m。1.5haの山の北東斜面がそれ。
山に分け入ると、急な斜面のそこここにゼンマイの大きな株が見える。
「もともとゼンマイが生えていた山だったんです。栽培して収

谷さんの山へのアプローチ

一面に顔を出したゼンマイ
広大な急な斜面に植えるのは、かなりの重労働であることは明らかだ。
「1日に100株植えるのがやっとでした」そんな作業に取り組んだのは、谷さんと奥さんのトミコさん2人だけ。
●最初は手間賃にもならず
山には、昭和33年に、谷さん自身が植林したスギがあった。「わかっているだけで5代続く家系です。もともとは農家だったんですが、私の代になって林業を始めたんです。四合地(しごじ)と呼ぶ山をはじめ、17万本のスギを植えました」と谷さん。
ゼンマイ栽培を始めたきっかけは、やはり、林業の低迷だった。
「木材が金にならなくなってしまった。勤めにでも行けと言われて悩んだ末に、ゼンマイ栽培に決めました」
昭和55年のことである。


