平成17年度
若者たちが取り組む森林と地域との共生事業移動組み立て製炭装置 愛媛松山市 有限会社フレスコ
●若者たちが作り上げた大型炭化装置
愛媛県松山市郊外――。奥道後を流れる石手川(いしてがわ)の上流の山間部にその炭窯はあった。三方を山に囲まれた中腹。ステンレスや鉄で作られたその窯は、炭窯というより、真新しい焼却炉といった印象だった。
容積15,000リットル。これで、スギの原木5.7トン、竹なら約2.5トンを一気に炭にできる大型炭化装置である。
「炭匠(すみしょう)」と名付けられたこの装置は、日本古来の炭焼き方法を基に、科学的かつ合理的な利便性を向上させたものだ。地面に掘った穴の側面に金属板で壁を作り、天井にも金属板を並べて蓋をする。現場で組み立てが出来るために、木を運ぶ手間や費用がかからない。
この装置を作り上げたのは、平成14年12月松山市に設立された有限会社フレスコのスタッフたちである。完成したのは、平成16年の7月だった。
「会社を設立してから炭窯に至るまでの道程が長かったんです。そして、『炭窯』を作ろうとしてからも、何度も様々な

炭窯のある目の前には炭になる原木が乾燥されている

フレスコが開発した大型炭化装置「炭匠」
こう語るのは、有限会社フレスコの代表取締役である牧野耕輔(まきのこうすけ)さんだ。
彼は、愛媛大学農学部大学院で森林政策を学んで、卒業後フレスコを立ち上げた。
このフレスコ、何とも珍しいことに5人いるスタッフのうち、4人までが愛媛大学農学部出身である。そして、最近参加したもう一人は、法律を専門とし、8年間まったく別の業界で営業に取り組んできた牧野さんの兄だった。
そもそも、フレスコ誕生の背景には、愛媛大学の存在が大きく関与していた。
牧野さんたちの恩師である愛媛大学農学部の藤原三夫(ふじはらみつお)、泉英二(いずみえいじ)両教授が以前から抱いていた「自分たちで林業請負会社を作れないか」という思いを実現したのがこのフレスコだったのだ。
森林の荒廃、林業の低迷は、かねてから問題視されてきたが、最近になって単なる研究や提言ではなく、具体的な森林蘇生に取り組もうという動きが起こるようになった。


