平成17年度

とにかく炭でビジネスを!?製炭・火が消せる七輪 福岡県福岡市 (株)スワン製炭 清家秀文さん

●突然!炭を焼いてくれの業務命令――

 長年サラリーマンとして、事務職を専門にしていたあなたに、ある日突然上司から、「明日から炭を焼いてくれ」と言われたら、いったいどうします?
 宅配便最大企業であるヤマト運輸株式会社。そこで、長年、事務職に就いていた清家秀文(せいけひでふみ)さんは、まさにある日、青天の霹靂の如く上司からそう言われたのだった。
「え? す、炭ですか?」
「わかっているだろう?」
「は? はあ」
 しばらくして清家さんは、上司の言わんとしていることが掴(つか)めてきたのだった。
 ヤマト運輸は、宅配便の大手としてはもちろんだが、二代目である社長のユニークな発想と信念でも知られていた。
 小倉昌男(おぐらまさお)氏。1971年、ヤマト運輸の二代目社長になった彼は、それまで業界の常識だった「小口

スワン製炭の営業部長、清家秀文さん(左)と総務部長の大串さん

ようやく完成した「火の消せる七輪」のセット

荷物は、集荷、配達に手間がかかり採算が合わない。小さな荷物を何度も運ぶより大口の荷物を一度に運んだほうが合理的で得」という常識を覆し、「小口荷物のほうが1kgの単価が高い。小口をたくさん扱えば利益が多くなる」という逆転の考え方で、現在の宅配便の原形を作り出した人物である。
 その独創的で、ニーズを見据えた商法は、今日の同社の発展の原動力になったばかりでなく、小倉氏の人格は経済界でも厚い人望を集める大きな理由となっていた。
 さらに、小倉氏の強い信念は社会福祉の面でもユニークだった。
 63歳で社長業をリタイアした小倉氏は「余生を障害者のために尽くそう」と決心。
 日本の人口の5%を占める障害者の働く場のために、パン屋を作ることを思いつき、即行動した。そして、10年ほど前に銀座にオープンさせたのが「スワン・ベーカリー」だった。ここでは、障害者が手作りのパンを焼き、販売する。その発想は当たり、店は長蛇の列。さらに、チェーン展開もはかるほどの立派なビジネスとして成功していた。