平成17年度

「マタギの里」の男たちの野望またたびワイン 秋田県阿仁町 伊藤国夫さん小林勳さん

●またたびで町おこし!

 秋田県阿仁(あに)町――。
 北秋田に位置するこの地は、かつて鉱山で栄えた町である。その阿仁鉱山の歴史は古く、延慶2年(1309)に金山開発が始まり、その後、銀山、銅山が次々と発見され、元禄15年(1702)に、佐竹藩が直営するようになる。特に銅の産出に恵まれ、享保元年(1716)には、産銅日本一を記録している。
 明治8年には官営、明治18年には民営となり、盛衰を繰り返すが、昭和45年に閉山となった。
 この阿仁町はまた、「マタギの里」としても知られている。
 マタギとは、古い伝統と独特の信仰を継承してきた猟師の集団である。彼らは、衣食の糧を得るために、獲物の多い山間部に居を構え、狩猟に従事してきた。そして、現在でもその子孫が残っているといわれる。
 阿仁町の特産として有名なのは、自然の恵みであるバラエティあふれる山菜、マタギりんご、乾燥熊肉、馬肉、牛肉、そしてまたたびの加工品であった。

上は乾燥させたまたたび。
下はまたたびラーメン

 キウイの類縁種に当たるまたたびは、ネコ科の動物に特有の興奮作用を与えることで知られる植物で、その果実は神経痛やリューマチに薬効があるとされ、減量や肥満防止にも効果があるといわれている。
 阿仁町では、古くからそのまたたびを焼酎漬けや塩漬けにして食用にしていた。また、乾燥したまたたびを粉末にし、ラーメンの麺に練り込

またたびワインと茶、シャンプー、せんべい

んだ「またたびラーメン」などの商品もあるほどの特産だ。
 このまたたびを使って、大々的な町おこしに取り組んだ男たちがいた。
 阿仁町商工会の伊藤国夫(いとうくにお)さんと小林勳(こばやしいさお)さんが、ことのあらましを語ってくれた。

●あきらめない男たち

「最初は、昭和60年の町おこし事業として、特産品を開発しようと始めました。いろいろなアイデアが出たんです。この阿仁町は北緯40°にあることから『北緯40°どぶろく』とかね。そしてまたたびを使った酒はどうか、という案が出た」と当時を振り返ってくれるのは、商工会の総務委員長だった伊藤さん。
 以前からこの地域では、家庭用としてまたたび、サルナシ(コカ)の果樹酒や松茸酒などが愛飲されていた。そこに彼らは目を付けた。