平成18年度

青森ヒバと地域を護る!「青森ヒバ油(ゆ)」の超能力とは?青森県北津軽郡中泊町 ㈱成田林業土木成田剛(なりたつよし)さん

神社仏閣の建築材として使われる青森ヒバ

●ヒバの廃材利用で生まれた「青森ヒバ油」

 しかし、林業不振の波は、ここ津軽にも及び、青森ヒバにかかわってきた成田さんのような林業関係者も、将来を考える必要が出てきたと言う。
 そこで、注目されたのが青森ヒバの廃材から抽出される「青森ヒバ油」だった。
「私たちが『ヒバ油』を手掛けたのは、昭和61年からですから、もう20年になりますね。青森県工業試験場の岡部敏弘(おかべとしひろ)先生の指導のもとで、水蒸気蒸留装置を開発したのです。それまで、ほとんど役に立つことのなかった青森ヒバの廃材に、商品としての可能性が生まれたわけなんです」
 天然の「青森ヒバ油」は、100kgのヒバ材から、わずか1kgしか得られないという貴重なもの。
 この油には、優れた抗菌性を有する成分「ヒノキチオール」が2%ほど含まれていることから、医療、農業、食品などの多くの分野での利用が見込まれたのだ。

青森ヒバの幼木

 面白いことに、成分名となっている本家のヒノキには、この「ヒノキチオール」が一切含まれていないという。

●「青森ヒバ油」の生み出す超能力

 この「ヒノキチオール」には、カビなどの多くの菌に対する抗菌性があり、特にカビや腐朽菌においては活性度が高いとされている。
 ほかにも「青森ヒバ油」には、さまざまな能力が隠されていた。たとえば、ヒバの香りによる「精神安定効果」、つまり森林浴を楽しむような「癒し」の効果も確認されている。そして、蚊やシロアリ、ダニ、ゴキブリなどに対する「防虫・殺虫効果」もあり、さらには「消臭・脱臭効果」などもあげられる。
 成田さんが説明してくれた。
「水蒸気蒸留でヒバ油を抽出する際には、ヒバ油の100倍の『ヒバ留出水』が採れます。この中にもヒバ油の酸性油分が溶けていて、ヒノキチオールも含まれています。だから、入浴剤などにも適していて、水を和らげて腐らせない効果があるんですよ」
 実際に、「青森ヒバ油」は、医療の現場では、雑菌が原因で起こるアトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患の予防として活用されている。
 そのほか、ヒバ油を加工した抗菌繊維を利用した商品を始め、水虫治療薬、石鹸やシャンプーなどのスキンケア用品、「ヒバ留出水」を使った入浴剤などが販売されている。
 また、ヒバ油を樹木に塗ると、害虫や菌による樹木の病気を防ぐ効果があることから、農林業関係者にも利用されている。
 さらには、キャンディなどの香料として食品にも利用されているほか、抗菌性、発芽抑制の効果を活かし、生鮮食品の鮮度の保持などの利用も検討されているという。