平成18年度

身障者、高齢者に雇用の場を!落下リンゴがインテリアに!?青森県弘前市 (有)炭工房アップル・スタジオ 谷澤實(たにさわみのる)さん

●最大のテーマは地域に技術を残すこと

「まだ、この事業は始まったばかりです。現在、リンゴ以外のさまざまな物も『姿炭』(すがたすみ)として商品化するために試作を続けています。地元での認知は広がっていますが、この商品が評価されるのは、きっと中央や海外だと思っています。

夢の実現に挑戦する谷澤さん

ただ、それでもあくまでも素材は地元にこだわりますよ」
 大手メーカーで長年勤めた谷澤さんは、大会社の論理も十分に理解してきた。
「商売や儲けを考えると、効率で地域を選ぶようになりますよね。都市より地方のほうが土地が安いから、とか。人件費節減のために海外で、とか……。でも、そうやって効率ばかりで考えてきた結果、日本から韓国、韓国から東南アジア、中国と点々としただけで、結局その地には何も残せなかった。技術があってこそ、残る物は残る。私がこの事業を始めた最大のテーマは、地域に技術を根付かせるということなのです」
 これまで捨てられていた地域の資源を再利用する、弱者の雇用の場を創造する、そして地域に技術を残していく――。さらに、商品としての経済化も求められる。
 地元愛から始まった事業には、まだまだ高いハードルが残されている。

「アップル・スタジオ」のスタッフの面々

「アップルロード」からは岩木山が望める

 それでも谷澤さんの意欲は、露ほども衰えない。
「これからの課題は、壊れやすさをどうするか、ということ。そして機能性ですね。『姿炭』には、実際に多少の消臭機能はあるのですが、今はまだ『癒し』のイメージにはなっていても、まだうたい文句になるほどじゃない。だから、これから炭の持つ消臭、清浄効果を活かして、そういう商品にもしていこうと考えています」
 現在、青森のアンテナショップが東京と大阪にあり、そこにも「姿炭」は展示されている。「ここ青森の地でも、若い人たちがリンゴなどの特産物に新鮮な視点から、新しい事業を立ち上げてきています。いろんな意味で、地方から発信していこうという熱い想いが沸き起こり始めていると思います」
 谷澤さんの夢は、「りんご炭」などの商品を「BONSAI」のように、海外でも愛好家ができてくれることだと言う。
 地元の産物にもなれなかった落下リンゴは、こうして「アート」になってゆく――。
 そんな大逆転もアイデア次第なのである。

「アップル・スタジオ」の外観