平成18年度
究極のアイデア――本と森との交換で山の再生を図る 福島県南会津郡只見町 たもかく株式会社
●集まった蔵書総数190万冊
子供の頃からの本好きが高じ、森林保護のために「都会で埋もれている本と緑豊かな森との交換」というアイデアを実現させた新しいビジネスモデルが、福島県只見町(ただみまち)で行われている。只見町は福島県の西南、四方を山々に囲まれ、町の面積の94%は豊かな森林で占められている。また只見町は、わが国屈指の豪雪地帯であり、厳しい自然環境から生まれる四季の美しい移り変わりを見せる。町の中央には伊南川(いなみがわ)や只見川の清流が走り、多くの湖もあるため、水の郷・只見とも呼ばれている。
その只見の一角に、本と森を交換する「森とらすと」を推進している「たもかく株式会社」がある。
「森とらすと」の具体的なシステムは、全国から送られてきた本やCDを、「たもかく」が定価の10%で引き取り、1,750円につき只見の森1坪と交換。送り主は土地所有権付き

「たもかく」がリフォームした農家

書店「たもかく」の店内
買値が1,750円の本の量は、だいたい普通のダンボール箱で1個分。つまり、古本を段ボールで1箱送れば、只見の森の1坪オーナーになれるというわけだ。
そして、300坪集めれば、一反部(いったんぶ)(10a)のオーナーに昇格でき、別のまとまった土地を登記できる。現在、オーナーの総数は5万人以上で、一反部のオーナーは100人以上に達するという。
これまでに「たもかく」に送られてきた本の総数は、なんと約190万冊。
この数字は、福島県内の書店蔵書数はもちろん、東京の八重洲ブックセンターや紀伊国屋書店をも凌ぐ数といわれ、倉庫10棟や倉庫代わりに使っている貨車8両などにびっしりと詰められている。そして、ここは「本の街」として古本の販売を行う只見町の名所となっているのだ。
このビジネスを始めたのは、株式会社たもかく代表取締役・吉津耕一(きつこういち)氏である。
吉津氏がこの本と森を交換する「森とらすと」を始めたのは、今から12年前の平成6年1月。


