平成17年度
たった一人の青年の情熱に、人が、山が動いた! 山形県小国町 観光ワラビ園 渡邊正義さん
●18歳の向こう見ずな情熱――
山形県小国町は山形県の西南部に位置し、新潟県との県境に接する朝日連峰と飯豊いいで連峰にはさまれた山あいの町である。町の総面積の約94%を森林が占めるという、まさに森と山と清流に抱かれた典型的な日本の町といえるだろう。
この町は、ブナの森に育まれた豊かな森の幸、山の幸に恵まれている。そして特筆すべき成功を収めている「観光ワラビ園」が多数存在する。
毎年、多くの観光客が訪れ、固定ファンも数多く付くまでに発展を遂げている小国町の観光ワラビ園――。
そのルーツは、たった一人の青年の、いわば向こう見ずな情熱と努力から始まったのである。
その青年の名は、渡邊正義(わたなべまさよし)さん。
時は昭和50年にさかのぼる。渡邊さんは、農業学校を卒業してすぐにふるさと小国町の樽口(たるぐち)地区に戻っていた。渡邉さん、弱冠18歳の時である。

定着したリピーターも多い観光ワラビ園

小国町のワラビの味には定評がある
農業といっても、この地区ではわずかな田や耕地での稲作や焼畑ぐらいしかできない地形で、あとは山に山菜やきのこを採りに行くというのがもっぱらだった。
「ほんとうに、まったく右も左も分からない状態でした。自分は山を全く知らないので、ゼンマイやきのこなどの山菜を採りに行きたくても行けないわけです」
仕方なく、地区の先輩に教わったとおり、家の目の前に自生している「ワラビ」を採って細々と収入源にするしかなかった。しかし、そこで前例 やしきたりにとらわれない若い彼は、素朴な疑問を抱く。
「何で肥料をやらないんだろう? 肥料をやれば、もっとたくさんワラビが採れるはずだ!」
思いついたらすぐに行動に移す彼は、さっそく地区の先輩に相談した。
「ワラビを育てるのに必要だから肥料を分けてくれませんか?」


