平成18年度
『木のうつわ』製作を地場産業に人づくり、地域づくりへの挑戦 静岡県伊豆市 NPO伊豆森林夢巧房研究所 山田正興(やまだまさおき)さん
●温泉の郷に木工房
「ジーッ、シュルルー」――木材を製材するような音が軽やかに響く。時折、木の香りもほのかに漂ってくる。ここは、温泉郷で知られる伊豆市修善寺から、伊東方面へ10キロほど行った旧中伊豆町城(なかきゅういずちょうしろ)という集落にある木工房――。
およそ50坪の敷地には、ギャラリーを併設した工房がある。製材所のような音は、ここから聞こえてきた。
工房は、大きく4つのエリアに分かれている。円形の木器をつくるロクロ挽きのエリア。しゃもじやヘラを作るエリア。お椀を作るエリア。最後の一つは、工業用機械といった雰囲気のNCルーターのエリアである。このNCルーターは、パソコンのキーボード操作で、模様をデザインすると、その模様をたちどころに木片から削り取るという優れものだ。楕円などロクロ挽きでは不可能な複雑な形の器でも形成できるのが特長である。
工房から壁を隔てたギャラリーは、木目を活かした内装で、木で作ったお椀や皿、ヘラ、箸などを陳列販売してい

円形の木器を作るロクロ挽き

伊豆森林夢巧房研究所のオブジェ
このギャラリーを運営しているのが、「NPO法人伊豆森林夢巧房(ゆめこうぼう)研究所」。
木工房は、「アトリエ・とき伊豆塾」という看板を掲げる。
「伊豆森林夢巧房研究所」は、平成16年2月に設立し、同年7月に静岡県知事から認証された。理事長は山田正興(やまだまさおき)さん(65歳)である。
そもそも、山田さんは東京都内の損保会社に勤務するサラリーマンでありながら、プライベートでは、平成8年ごろから、「NPO法人地球緑化センター」の森林ボランティアとして活動をしていた。
このセンターは「人と緑」をキーワードに、従来の森林ボランティア活動が行う間伐や下草刈りに加えて、ボランティアで訪れた先で地域づくりや地域おこしにも関心を持ち、活動を行っていた。その一方で、参加者は自分を発見する場にしようということを目指していた。


