平成18年度
炭産業を復興し、原風景に戻したい―― 炭にかける男たちの熱い夢 愛知県北設楽郡設楽町三河炭やき塾 斎藤和彦(さいとうかずひこ)さん
●きっかけはふるさと再生だった
苗木の入った緑色の袋を担ぐ者、スコップやクワ、スキを持つ者たちが、行列をなして山の斜面を目指して登っていく――。斜面といっても、斜度が40度以上はあろうかという急斜面。急ごしらえの“山道”であるため、時折よろめく者も少なくない。各々の定位置につくと、足場を確かめながら、スコップで地面を30センチほど掘り返す。そこに木炭を入れ、苗木を植えていく……。
2006年10月、愛知県北東部奧三河の段戸山(だんとさん)の麓にある「西川地区」で植樹祭が行われた。主催は、「NPO法人森を再生する会」であった。参加したのは、地元のボーイスカウトやライオンズクラブの面々。下は小学生から上は80歳を越えるお年寄りまで、まさに老若男女400人が参加した。この日、植樹したのは、ブナやクリ、トチノキなど25種類の広葉樹約1,300本だ。
この植樹祭が行われた「段戸の里」のある段戸山(だんとさん)

老若男女400人で約1,300本を植樹

最初に作った「夢創窯」
樹齢200年以上もある常緑針葉樹、モミやツガなどの針葉樹、ブナ、ミズナラなどの落葉広葉樹が自生しており、学術参考保護林にも指定されている。
この植樹祭で、植林場所を提供したのが、本稿の主人公「三河炭やき塾」塾長・斎藤和彦(さいとうかずひこ)さんである。
彼は、そもそも木地師(きじし)の末裔であった。
「昭和10年代までは、木地師が、ロクロを廻して、木製のお椀やお膳、皿などを作っていました。それが、プラスチック製品に取って代わってしまった。私の生まれた昭和18年ごろには、ついに最後の木地師が山を降りていきました」


