平成18年度

豪快かつ繊細な木彫ニューウェーブ 龍神村のチェンソーアート 和歌山県田辺市龍神村 有限会社チェンソーアート・ジャパン 城所啓二(きどころけいじ)さん

大・中・小3つのチェンソーを使い仕上げていく

 木を伐採し、丸太や枝を切るだけの道具であるはずのチェンソーが、実は驚くほど繊細な細工をやってのけるツールでもあることに唖然とする。龍神村とチェンソーアート――。その接点となったのは、3年前に愛知県から龍神村にやって来た1人のチェンソーアーティストの存在だった。

●龍神村に魅せられて

「愛知の山の中に10年間住んでいたんですけれど、チェンソーアートを始めるようになって、たまたま龍神村のイベントにゲストとして呼ばれたのがきっかけなんです」
 こう語るのは、日本のチェンソーアートの第一人者であり、世界大会優勝のタイトル保持者である城所啓二(き

ドイツ人トップカーバー、マーテ
ィンさんも多彩な技術を披露

どころけいじ)さん(39歳)だ。
 龍神村の気候風土、そして村民との触れ合いに魅せられた城所さんは、迷わず移住を決意。
 そして和歌山県と田辺市も、「緑の雇用」事業の一環として、城所さんに5年間無料で住宅を提供した。これはその地に定住して創作・芸術活動をする人たちを支援するという事業である。
「この村には、Iターン者が100世帯もいるんですよ。古くから村に

大会の看板もチェンソーでご覧のとおり

住んでいる人々がその人たちを温かく迎え入れてくれている。芸術家やクラフトなどの作家も多く、それぞれの人たちとのほどよい距離感のある連携も心地いい。それに、一見、山の中で不便に思われるかもしれないけれど、ここから、高速に出るまでたった1時間なんです。関西に向かうにも愛知にいた時よりもずっと短縮されました」
 日本では、まだあまり馴染みのないチェンソーアートだが、いったいどれくらいの愛好者がいるのだろうか。

「アクア」をテーマに水に関連
した生き物などを表現

「僕が始めた6年前は、全国で20人くらいでしたが、現在では、僕が把握しているだけでも300人以上、実際には1,000人は超えているだろうと思われます」と城所さん。
 聞くと、チェンソーメーカーは、その人口の急増をにらんで、カービング専用のチェンソーを開発、また振動防止の手袋や、防音ヘッドホン、ヘルメット、ワークウエアなども売り出すようになったらしい。
 その魅力について聞いてみた。
「日本人は、昔から木に親しんできた民族ですよね。

マーティンさん作の干支の「イノシシ」