平成18年度
豪快かつ繊細な木彫ニューウェーブ 龍神村のチェンソーアート 和歌山県田辺市龍神村 有限会社チェンソーアート・ジャパン 城所啓二(きどころけいじ)さん

5年間無料で提供された住宅には、
城所さん以外にもアーティストの
工房がある
そして、技術講習やカービングショーで、国内外で巡業するかたわら、2005年8月アメリカ、ペンシルバニア州ノースイーストカウンティの世界大会、同年10月ニューヨーク州ナイアガラでの世界大会でともに総合優勝を果たす。ほかにも、2006年、日本で初めて行われた世界大会でもチャンピンの座を獲得している。
「チェンソーアーティストとして、ワーキングビザを取った日本人は、僕だけ、というのが自慢(笑)。アメリカでは、カントリーフェアなどのイベントとして、チェンソーカービングはとても一般的なのです。コンテストであり、ショーでもある。チャンピオンになると、よけいにエンターテインメント的な要素が求められるようになるんです」
もちろん、本場のアメリカでチェンソーアーティストとして巡業することも可能だったのだが、城所さんは、活動の場に日本を選んだ。
「日本の市場を育てたほうがベターだと感じたのです。僕のように、美術系でも何でもない素人だった人間にも始められて、さまざまなメリットも得られる。実際妻は、僕が『チェンソーアートをやりたい』と言い出した時、『そんなこと、あなたにできるわけがない』と言い切った1人(笑)。
それだけ、垣根も高くはない。新しくて楽しいスポーツのように日本中に広めて、なおかつ日本の林業のためにもなるなら、そんないいことはないじゃないですか」
城所さんは、2007年8月に富山県で行われる『いなみ

熟練するためには、「同じものを何度も作るのが基本」
と城所さん
「彫刻ですから、本来だったら美術系、アート系の人たちしか選ばれないはずなんですが……。でも、これはいいPRになるだろうと思ってお引き受けしたんです」
●誰もが恩恵を受ける経済サイクル
そんな城所さんのコンセプトと事業の将来性は、平成17年度の『森業・山業創出支援総合対策事業 優良ビジネスプラン』に選出された。「チェンソーアートは、都市部にも愛好家が増えつつあります。また、チェンソーアートだけでなく、間伐材を使った屋根などの加工品を地元の人たちと組んでやっていこう、というふうに何にでもトライしていきたいですね」
城所さんの夢は、チェンソーアートの先にあるものだった。
「この龍神村を舞台に、住宅も提案していきたいんです。それも、家だけではダメ。エントランス、裏庭、そして工房、畑……。大きくいえば、一つの村をプロデュースしてみたい。今は無償で住宅を借りていますが、その後は自分で家を建てるつもりです。生活の一部にチェンソーアートがあって、地場産業があって、さらに山への意識が大きく変わる住環境を創造していこうと思っています」
その結果、地域に新たな業界が生まれていく。
自分たちだけで稼いじゃいけない。みんなで刺激し合い、助け合いながら新たな価値を造り上げていく――。木材も安ければいいというものではない。誰もが恩恵を受ける経済サイクルが、今求められているのだ。


