平成18年度

元市長の大いなるチャレンジ 高齢者にも優しい簡易竹炭窯の実現 宮崎県日向市 山本孫春(やまもとまごはる)さん

丸一日の工程で大量の竹炭が完成する

できあがった竹炭を叩くと金属音が

 
改良を加えて、現在では1回の工程で、約30kgの竹炭が焼けて、10~12の竹酢液が採れるんですよ」
 丸一日の工程、それもほとんど手間入らずで、竹炭ができあがる。これならば、高齢者でも作業が可能である。

●竹炭のよさを知って欲しい

 竹炭のさまざまな効能は、山本さん自身が体験している。
「ご存知のように、宮崎は台風の通り道なんです。我が家は、築120年なのですが、戦後の大台風で被害を受けたために改築したんです。それ以来、大広間の畳にカビが発生するようになってしまった。ところが、床下に、俵30俵分の竹炭を敷き詰めたら、まったくカビが発生しなくなったのです。また、水虫で悩んでいた身内も竹酢液を塗布するようになってから、すっかりよくなったと喜んでいますよ」

日向市付近には雄大なリアス式海岸が広がる

 価格は、窯だけだと約12万円、竹酢液の冷却装置込みでも、約18万円ときわめて安価である。
 現在、耳川(みみかわ)広域森林組合(宮崎県東臼杵郡(ひがしうすきぐん))を中心に竹炭窯の普及活動を実施。この組合は、日本一の森林面積を誇る宮崎県北部の耳川流域、1市2町5村にまたがる規模を持ち、2000年に設立されたものである。ちょうど山本さんが日向市長に就任したときのことだ。
 組合内で竹炭生産部会を結成、生産した竹炭や竹酢液を商品化し、組合を通じてJAや関係団体をはじめ、企業・消費者へ安定的に供給できる体制づくりにも取り組んでいる。
 現在、山本さんは、竹炭窯の事業の一方で、所有する山にさまざまな木を植え、少しずつ整備する毎日を送っている。
「すぐそばに、学校や団地があるので、生徒や近所の人たちの憩いの場所になるような、公園にしてみようかな、と考えているんですよ。麓には、東屋とバーベキューの施設も作って、竹炭で宮崎名物の地鶏を焼いて食べてもらい、同時に竹炭の良さも地元の人たちに知ってもらいたいのです」
 そう語る山本さん。

山本さんが市長の頃に立てられた巨大木造ドーム

 その表情は、長い間、政治の世界に生きてきた政治家の顔ではなく、山と地元をこよなく愛する一人の好々爺の顔だった。