平成17年度

竹博士が取り組む画期的な観光事業竹炭窯サウナ(炭窯スエット) 静岡県南伊豆町みなみいずたけ炭ひろば 山本剛さん

「Tシャツとジャージくらいでちょうどいいでしょ」と山本さん。
 この発想は、実はアメリカのネイティブアメリカンの「スエット・ロッジ」という低温サウナからきたものだと言う。
「窯の中央に焼き石を置き、それに水をかけて蒸気を出す。体は炭窯が温め、そして精神は焼き石が癒してくれるんですよ」
 しばらく窯の中に座っていると、ポカポカと体が温まってくるのがわかる。それほど汗ばむわけではない。低い天井、丸いスペースに脚を伸ばして座り、小さなランプの灯を見つめていると、何だか母の胎内にいるような穏やかな気分になってくる。

●間違いだらけの竹知識

 窯の中で山本さんにさらに竹の話を聞く。
 さすが「竹博士」と呼ばれる山本さんらしく、その内容のほとんどが、初めて聞くような話ばかりだった。
 曰く――。
 日本人にとって、竹とタケノコはその種類によってさまざま

さまざまな可能性を持つ竹

な物語がある。たとえば「マダケ」。日本の新年を飾る門松に 象徴されるように、スッと伸びた美しい姿、肌の艶、きめの細かさ……、竹工芸の素材の大部分はこのマダケで作られることからも、日本の竹を象徴する竹といえる。
 しかし、このマダケは、真竹、苦竹と書かれる。なぜ、「苦い」という字が当てられたのか。それは、マダケのタケノコの美味しさを庶民に知らせてはならなかったからだ。
 また、四方竹は、中国が原産地で主に観賞用として関西方面で植えられている。幹が四角なのでこう呼ばれるが、四角竹と呼ばれることもある。

山本剛さんは地元の有名人だ

 この四方竹のタケノコは、10月上旬から11月上旬に出る。ほかのタケノコと違い皮付きのままアクぬきしてから、皮を剥いて食べる。また、皮付きのまま焼いて食べても美味だと言う。
 どんどん増えることで評判のよくない孟壮竹。実は、この孟壮竹の、地上に出て1mあるいは7mも伸びた「穂先タケノコ」が一番美味いというのだ。
 香り、歯触り、その黄金の色も食欲をそそり、実際に美味。「伸びたタケノコは硬くて、アクが多くてとても食べられたものではない」――。
 古くからこう言われてきたのは、実は神話だったのだ。
 20年ほど前まで、まだ中国産のタケノコが輸入されるまでは、親竹候補以外のタケノコは、それこそ根こそぎ掘り出され出荷されていた。
 親竹候補のタケノコを食べてしまっては、親竹の更新が出来なくなってしまう。
 そのために、本当はもっとも美味しくてもみなを納得させるために、「硬い、マズイ」と迷信が生み出されていたのだと言う。
「だから放置竹林の問題は、一方で、もっともおいしいタケノコを食べられることにも、つながったわけなんです」と山本さんは笑う。